春恋
桜side



「ん?どうした?」


眠そうな声。優しく語りかけてくるようなしゃべり方。


ああ、すきだなあ、なんて。



「なんか、今日ぼーっとしてたから、心配になっちゃって・・・」



どんな返事が来るだろうと、頭で繰り返し繰り返し考える。


「大丈夫だよ」


語尾が消えかかってるしゃべり方。眠いんだろうなあ、かわいいなあ。


「ごめんね、こんな遅い時間に」


嫌われないかな、迷惑かな、なんて悩んで悩んで、それでも思い切ってかけてみた電話。


悩んでた時間なんて忘れるくらい、いまがしあわせ。


すき。すき。すき。いつか伝えられますように。




機械越しにかわいい寝息が聞こえる。

「ねちゃったの?」なんて尋ねても返事はない。



わたしは通話を切ることもせず、そのまま眠りについた。









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