不合理なオフィスラブ 〜嫌いな同期との攻防戦〜
平常心、平常心。
高鳴る鼓動に言い聞かせる。
だんだんと近付く距離に、その場から動けずにいた。
「あっ……」
発したのは、彼女の可愛らしい唇。
少し肌寒い風がお互いの髪を撫で、彼女の揺れる瞳と視線が交わる。
「あっ、あのさ……」
その先を告げることはできなかった。
今にも泣き出しそうな彼女が、俺の横を通りすぎていくのを黙って見送ることしかできなかった。
あのときの彼女の表情を、今でも忘れられない――。