たった一つの勘違いなら。

「詩織」

真吾さんに呼ばれて、あ、そろそろケーキがいいかなって気づいた。

「ケーキ出しましょうか。お茶入れてきます」

立ち上がると、お手伝いしますと奈緒ちゃんもやって来てくれた。

こっち女子トークしよう、と手伝う気のない恵理花も来る。恵理花のすごいところは、結構いろいろできるのに男の人たちの前では発揮しないところだ。

『そんなの狙った男にだけやるに決まってるじゃん。できなそうなのに意外とか、俺のためだけに、って言うので落とすんだよ』

と昔言っていた。そういう数あるスキルと全く関係なく釣れた高橋くんと付き合ってるのが面白いけど。

「詩織さんと課長の関係って、すごく憧れます」と奈緒ちゃんが言う。

「さっきの名前呼ばれただけで通じ合ってる感じとか、夫婦って感じしました」

ニコニコと言われると恥ずかしいけれど、そうかな。嬉しい。

「富樫課長ってこんなにかっこよかったんだなって。前からかっこよかったですけど、大事な人がいる男性っていいですよね」

「奈緒ちゃん、それは西山くんの前で言ったら大変だね」

恵理花が楽しそうにコメントする。そうだよ、彼は結構そういうところ厳しそうだよ。

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