たった一つの勘違いなら。
過去なんてどうでもいいことだから、話題を変えてあげましょう。

「もう騙さないはずでしたよね。今日のサプライズは騙したうちに入りませんか? 言い訳してください」

目を覗き込み、どう返してくれるかなって期待してみる。

「君の親友とその彼氏が、どうしてもやりたいと提案してきた」

「人のせいですか?」

「詩織が驚いて慌てるところを見たかった、って言うのは?」

慌てたかな、期待に添えたか自信がない。でも。

「とにかく償いを要求します」

「はい」

一応形ばかりの神妙な返事が来た。

「今度はサプライズなしで、真吾さんのお友達を招いてみたいです」

「俺の?」

「真吾さんのことをもっと知りたいです」

「ろくでもない話しか出てこない気がする」

真吾さんはエスカレーター式の名門校をでていらっしゃるので、長い付き合いのお友達が多いと聞いている。

「大丈夫です。口が上手くて飽きっぽくて嘘つきで、でも私のことはちゃんと大事にしてくれるって知ってます」

それを聞いた真吾さんは、なんだか噛みしめるように嬉しそうに笑う。
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