南くんの花嫁( 猛 烈 修 行 !! )



玄関には、靴を脱ぐ瀬那の姿があって、その顔は心做しか疲れている。



"瀬那、おかえり"


言おうとしてすぐ、そう言えば瀧と電話中だった!と思い出して、スマホを耳に当て直した私は、


「瀧、ごめん!今日はもう切るね!」


『は?』


「また明日、学校で」



瀧の返事も待たずに一方的に通話終了ボタンを押した。


明日ちゃんと礼状の書き方教えるから許してよね!なんて心の中で思いながら、瀧との電話のおかげで、瀬那が帰って来るまで寂しさを感じる時間が減ったことに感謝してたりする。



「瀬那、おかえり!今日はいつもより遅かったね!疲れたでしょ?お風呂」


さっきまでの寂しさを勘づかれないように、いつもみたいにニコニコ笑って瀬那に話す私の言葉は、



「電話、誰?」


疲れているせいか、いつもより低い瀬那の不機嫌そうな声によって勢いを失くした。



「え……?あぁ、瀧だよ!」


「こんな遅くに何の用?」


「ほら、お世話になった実習先に礼状出すことになってて!その礼状の書き方が分かんないって……」


「……はぁ」



いつもなら『おかえり』って言ったら『ただいま』って返ってくる瀬那からの返事。

だけど、今日の瀬那はすごい機嫌が悪くて、とてもじゃないけれど甘えられそうな雰囲気じゃない。


本当はギューってして欲しかったんだけど。


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