砂漠の酒盛りに迷いこんだ猫
ネモはお母さんとたくさんお話をしたがりましたが、お母さんは夜更かしを許しませんでした。
それでも、ネモは朝寝坊をしてしまいました。
台所に行くと、ヤカンから白い湯気が吹き出していて、その向こうにお母さんが立っています。


「おはよう。ずいぶんゆっくりね。疲れていたの?」


「おはよう。うん、そうかもね」


それは疲れているでしょう。なにせ、大きなウワバミから逃げてきたんですからね。


ネモは食卓に腰をおろし、うっとりした目になりました。
片付けられて綺麗になった部屋も朝の挨拶も、なんて素敵なんでしょう。
なにより、遅く起きた朝の食卓は格別でした。


湯気のたつ甘いカフェオレ。
ふかふかのフレンチトースト。
ぷるんとした目玉焼きに、カリカリのベーコン。


一番素敵なのは向かいの席で微笑んでいるお母さん。
今ならどんなお説教でも素直に聞ける気分です。
でもその前に、お母さんの旅の話を聞かなくてはいけません。
それからフウセンウナギとウワバミの囲碁対決の話をしようと、ネモは楽しみにしていました。


庭の矢車菊が、いつにもなく朗らかな顔をしたネモを窓越しに優しく見守っていたのでした。
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