偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
沙知からアクアシティに到着したとLINEが入って「ひさしぶり〜」と合流する。
三月末の送別会以来だ。
それまでは、毎日会社で会っていたというのに。
「ややさん、やっぱり今日も綺麗ですっ。
そのワンピの色、すっごく似合ってます!
バッグとはおソロみたいな色ですねぇ」
そういう沙知も、ゆるふわなアイボリーのトップスとカナリアイエローのペンシルスカートという緩急をつけたオシャレなコーディネイトである。
キャメルブラウンのふんわりボブも愛らしくて、三十歳を過ぎているとはとても思えない。
「ありがと、さっちゃん……わざわざお台場まで来なくてよかったのに」
それでなくても今日は平日なので、稍は気が咎めた。
だが、沙知は一向に気にせず、
「なぁに言ってるんですかぁ。
あたし、一度行ってみたいと思ってたダイニングバーがあるって言ったでしょ?
今日は楽しみにして来たんですから」
スマホでググった店を、ほらっと見せた。
海賊船をイメージした内装の、多国籍料理の店だった。
「……おもしろそうだね」
稍はディスプレイを覗き込みながら微笑んだ。
「しかも、二時間飲み放題ですよー」
沙知が拳を握って「気合い」を入れる。
彼女はイケる口だ。
二人は五階にあるというその店へ足を向けた。