偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「……とにかく、食べましょうよ」

麻琴がテーブルいっぱいに並べられたセットの料理を見て言った。

そういえば、いくら二時間飲み放題とはいえ、先刻(さっき)からみんな、生ビールを呑んでばかりだ。今の季節では気の早い「ビアガーデン」である。

……そういえば、この人たち、どんな場でも、女子が甲斐甲斐しく小皿に取り分けてくれる男たちだったわ。

生憎、この場に「女子」は麻琴しかいない。

ところが麻琴自身も、どんな場でも「男子」が甲斐甲斐しく小皿に取り分けてくれる女なのだ。

合コンなどで男子への受け狙いのために「世話女房」する女にはトップクラスの美貌はない。
だから、そういうことをしてでも「浮き上がろう」とするのだろう。

少なくとも麻琴の友人には、そんな「中途半端な」女はいない。

なにもせず座っていたって、たとえ相手がどんなエグゼクティブであろうと、世界情勢からスポーツまでいろんな話題で盛り上がって、その場を楽しく過ごすことなど朝飯前だからだ。
正真正銘のトップクラスの美貌と、そして教養も併せ持つ女たちだ。「類友」である。

こうなったら、「イケメンあるある」VS「高嶺の女あるある」の我慢比べだ。

……絶対に、小皿に取り分けてなんかやらないわよーだ。

思わず舌を出して、あっかんべぇーとやりたくなる。

とはいえ、麻琴だって、さすがに好きな男の前では「世話女房」になる。
だからこそ、特別感が出て付加価値が生まれるのだ。「プレミアム」とはそういうものだと思っている。

麻琴は青山をちらり、と見た。


……でも、「今」はしないからね。

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