偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
「ラッキー!」
山口がガッツポーズをする。
「向こうのテーブルへいろいろ聞きに行けるぞ。
……あ、石井さん、警戒されるといけないんで、一緒に行きませんか?」
……それじゃ、ただのナンパじゃない⁉︎
麻琴は山口を「かわいそうに」思うのを、すっぱりやめた。
「そんなの知らないよ。第一、なんで妻も子もいる僕が今さらそんなことしなきゃなんないのさ」
石井も苦笑しながら、即座に断っている。
左手薬指のリングが光る。カルティエの1895だ。
何の変哲もないシンプルなプラチナリングだが、却って既婚者を物語っていた。
「じゃあ、青山さ……」
勢いで話しかけたものの、青山から間髪入れずに眼光鋭く睨まれたため、
「あ……いえ、いいです。す、すいません」
山口はそれ以上の言葉を封じ込めた。