偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
「この前、亜湖さんのおうちに伺ったんですよ」
沙知に、本格的に仕事を仕込んだのは亜湖だ。
だから、二人は姉妹のように仲がいい。
上條新副社長夫妻は、月島のタワマンに住んでいた。二人には、五歳になる娘の月華と三歳の息子の大河がいる。
「へぇ、子どもたち、かわいかった?」
稍は目を細める。なんだか「伯母」の気持ちだ。
「おねえちゃんの月華ちゃんはママそっくりなんですけど、おばあちゃんの新社長の奥さまが大のお気に入りらしいですよ。
……あと、ひいじいちゃんの『皇帝』も」
上條新副社長の母方の祖父が「皇帝」朝比奈新名誉会長なのだ。
「弟の大河くんはパパそっくりで、おじいちゃんの上條新社長から『ミニ大地』って呼ばれてるんですって」
沙知はくすくす笑った。
その「新社長」も「新副社長」とそっくりだからだ。
「でも、わんぱく盛りで、イタズラし放題でしたねー。目を離すとなにをしでかすかわからないから、亜湖さんは振り回されまくってて、たいへんそうでしたぁ」
亜湖ちゃんが、あちらの家ともうまくいってそうでよかった、と稍はしみじみ思った。
「あ、そうだ。今度、広尾に引っ越しするらしいですよ。そしたら、ややさんもぜひ一緒に遊びに来てほしいって、亜湖さんが言ってましたよ」
「ほんと?いいの?行く行くー」
稍は満面の笑みになった。
「月島のタワマンが手狭になったから、新社長たちがお住まいの広尾の邸宅と『交換』するんですって。セレブな『交換』ですよねー」