偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「……ややさん、やっぱそのパールのピンキーリング、かわいいなー。あたしも誕生石のピンキーつけようかなぁ」

沙知が覗き込むように稍のリングを見た。

小指はテーブルやPCに当たりやすいが、淡水真珠(パール)なので気兼ねなく使っていた。
また、通勤着にもデニム姿にも合わせられるデザインで重宝している。

「あたし、ターコイズかラピスラズリなんですよねぇ……あ、どこで買いました?デパート?」

稍は首をふるふる振った。
あまり名前を呼ばないでほしい。
後ろの男が聞いてしまったら困る。

「お正月に帰省した時に買ったんだ。地元のアウトレットで」

「どこの?」

間髪入れずに訊かれた。

「三田」

「……あれ?ややさんの地元だったら、竜王の方が近くないですか?」

稍は、しまった、と思った。
名前を呼ばれることばかりに気を取られていた。
沙知は三重出身で関西方面には明るかった。

背中合わせの男に聞かれていないことを、心の中でひたすら願う。

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