偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
そのとき、なぜか、二つの声が重なった。
「「ちょっ、ちょっと……待ってくださいよっ!」」
沙知の声と、男の人の声だ。
その沙知ではない方の声が、テラスの入り口辺りから聞こえてきたような気がして、稍と沙知は目を向けた。
すると、そこに、なぜか……山田がいた。
「たっ…佑⁉︎」
沙知が大きな目を最大限に見開いている。
「ちょうどよかった、山田っ!ちょっとこっちに来な。あんたに話があんのよ」
稍は、手招きしながら山田に呼びかけた。
……山田にしてはタイミングがいいじゃん。
もしかして「やればできる子」か⁉︎
稍は山田のことを生まれて初めて褒めた。
祝杯をあげたい気分だ。
もうすでにさんざん呑んで酔いも回りまくっているが。
しかし、次の瞬間……その酔いがぶっ飛んだ。
……な、な、な、なんで、あいつが、ここにいるわけ⁉︎