偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「さっちゃん、スマホ貸しな?
今から山田を呼び出して、どうするつもりなのか、問いただしてやるっ!」

稍は沙知に向かって手のひらを突き出した。

「えええぇっ⁉︎ ややさん、酔ってるんですかぁっ⁉︎」

沙知はテーブルの上に置いてあったスマホを、あわてて掴み取って胸に抱いた。

「あたしが、この程度で酔うわけないでしょっ⁉︎ シラフよっ、完全シラフよっ!」

こんなふうに言うときは、大抵酔っ払っているときである。
実は沙知の話を聞いている間に、生ビールをどんどんお代わりして呑んでいた。
今日は話に夢中になって、いつもより食が進んでいなかったせいもある。

「さぁっ、スマホをお貸しっ!」

稍は突き出した手のひらを、さらに突き出す。
一旦酔い始めると、急速に回ってくるタチのようだ。「女王様」になっている。

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