偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
「……栞は……元気にしてるか?」
智史はそう稍に訊いた。
だが、栞を最後に見たのは彼女がまだ物心もついていない一歳足らずのときだった。
「この三月に大学院の博士課程を修了してんよ」
栞が卒業した大学の名を聞くと、智史は目を見開いた。
「すげぇな……おれ、負けたやんけ」
智史は、国立の工業大学ではトップを誇る大学の院卒だった。
「あ、でも、あの子日本文学を専攻したんよ。あんなに理数系に強い子やったのに」
稍が不思議そうに言うと、智史は苦笑した。
「そうか……親父が……結局は、企業の研究員になったけど、学生時代は小説書いて賞に応募しとったらしいからな」