偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「……籍は入れへんって、言うたやんっ⁉︎」

稍はムンクの顔で叫んだ。

「何(べん)(おんな)しこと言わすなって言うてるやろ。
おまえなんかと入籍して、おれの戸籍を汚すわけないやろが、ボケ。
……書くだけや。役所には出さへん」

智史は横目で稍を睨む。

「せやけど……これが『復讐』の『小道具』になる」

もう一度、ガラスの天板の上にある婚姻届に目を落とす。

智史の目がほんの一瞬、ギラリ、と光った。

「智くんは……やっぱし『あの人たち』に、『復讐』したいのん?」

稍がぼそり、と尋ねる。

「稍は『あいつら』を許せるのか?」

先刻(さっき)から稍が「智くん」と呼んでいるが、もう気にはならないようだ。

「ん……あたしは、栞さえ幸せでいてくれたら、それでええから」

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