偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「この前、海賊の店でおまえが、
『正月に帰省したときに、三田のアウトレットに行った』って話してたやろ?
……おまえの実家も神戸に戻ってんな。
ちょうどよかった。てっきりまだ、京都のじいちゃんの家やと思ってたから、手間が省けた」

いつの間にか、会社での「青山リーダー」の顔になっている。

「これは決定事項や。もう新幹線の切符も取ってある。グリーン車やぞ、喜べ。
……あ、金か? 無職になったおまえに出させるわけないやろ。心配すんな」

GWの東京と新神戸間の新幹線の切符なんて、昨日今日で取れるはずがない。

稍は心の中で、ムンクのように叫ぶ。

……い、いつから、この計画を立ててたん?

も、もしかして、あたしがステーショナリーネットへ派遣で行ったときから、とか?

空恐ろしくて、稍には到底聞けなかった。

ただ、智史の『復讐』が『本気』だった、ということが、稍にひしひしと伝わった。

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