偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

目覚めた稍は、ヘッドボードに置いたスマホを見る。時間は七時になったばかりだった。
「あの時刻」が過ぎていたことに、稍はホッとした。

本当はもっとゆっくりしていたいところだが「居候」の身ではそうもいくまい。

『家賃も食費も免除してやる代わりに、家事全般をやれ』ということだから「朝ごはんでもつくるか」と稍は伸びをしてベッドから起き上がった。

キッチンへ行き、冷蔵庫を開けて、昨日稍が家から持ってきた食パンと(智史に「供出」するのはもったいないが)成城石井のいちごバターを取り出す。それから、オムレツでもつくるかと、卵とタカナシ北海道牛乳も出す。

「……フライパンくらい、あるやんな?」

稍はシンク下のドアを開けて探した。

そのとき、玄関から物音がした。

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