偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
智史が日課のランニングから帰ってきて、玄関のドアを開けると、トーストの香ばしい匂いとコーヒーの芳しい香りがふわっ、と舞い込んだ。
玄関から真っ直ぐに伸びた廊下の奥の、リビングへと続く扉が開いた。
「あ、智くん、おかえり〜」
稍がひょこっと顔を出す。
「すっごい汗やん。ランニングしてたんや?
シャワー浴びたら、朝ごはん食べて」
「おう、ただいま」
そう言って、智史は廊下の途中にあるバスルームへと向かった。口角が、自然と上がっていた。