偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

だが、しかし……

ピッ、という軽快な音とともに、突然、通話が切れた。

智史が青ざめた顔で、稍にスマホを返す。
稍は再度かけ直す。

ところが、通話に出ないどころか、トークを送っても既読にならない。
電源自体を落としてるようだ。

「おれ、栞に嫌われてるのかもしれへん……」

今、高層階にいるのであれば、速攻で身投げしそうなほど暗い声で、智史がつぶやいた。

「うーん……急に充電がなくなってしもたんかもよ?」

稍はトークで【どしたん?なにかあったん?】というメッセージを送りながら、落ち込む智史を慰めた。


「……なんや……おまえら……全部、知っとったんかよ……?」

その状況を黙って見ていた巧は、全身の力がすっかり抜け落ちてしまい、ソファの背もたれに身体(からだ)を預けきっていた。

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