偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
稍はもう二軒目の自分の家のようになっている智史の家のドアを、ばーんと開けた。
「さとくーん、聡にいちゃんが来とうでっ!」
智史はリビングで、塾へ行く用意をしていた。
勉強のできる彼は中学入試をするために、神戸でも有名な進学塾に週何回も通っていた。
「あ……ごめん。今日、塾の日やったなぁ?
やや、帰るわ」
稍はがっかりした顔を見られないように、踵を返す。
ところが「ややちゃん、待って」と智史が呼び止める。
「……今日は塾、休むから」
「ええっ、さとくん、おばちゃんに怒られるやんかっ!」
稍はびっくりして叫んだ。
智史の母親は怒るとものすごーく怖いのだ。