偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
「あたしがこんなこと言う資格はないけど。
……稍にも栞にも、しあわせになってほしい」
そして、智史の方を向いて、
「稍のこと、よろしくお願いします」
みどりは頭を深々と下げた。
稍が褒められるのと同じ「きれいなお辞儀」だった。
「智史……これもおれが言えた義理やないけど」
洋史が自虐的に嗤う。
「登茂子は……おまえのかあさんは、あんなふうに強う見えても案外弱いとこがある。
……かあさんを頼むわ」
智史はこくり、と肯いた。
登茂子がごくたまにではあるが、酒で気を紛らわせているときがあるのを知っていた。
「それから、男っていうのは、命をかけてでも守らなあかん人のためやったら、どんだけでも力が出るし……どんな我慢もできるもんやからな」
そして、洋史は息子の顔をじっと見据えた。
「おれがおまえのかあさんにさせてしもうた、あのような思いだけは、稍ちゃんにさせるなよ」