偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
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いつの間にか、またがっちりと「恋人つなぎ」されている。

「あたし、ずっと気になっててんけど。
智くん……なんで、いつも手ぇつなぐのん?」

稍は上目遣いで尋ねた。
智史は、ふっ、と笑った。

「あのとき……神戸から大阪に入って、おれのオカンの顔を見たとき……おれ、思わず稍の手を離して、オカンに抱きついてしもてん」

地震のあと避難所を出て、稍は父親に、智史は母親に、引き取られたときのことだ。

「あのときは仕方ないやんかぁ、まだ子どもやったし」

稍も智史も、お互い小学生だった。
特に智史は、迎えに来てくれるはずの父親がとうとう来ず、置き去りにされ見捨てられた、と思っていた。相当、心細かったに違いない。

「せやけど、おれらはあれから二十年以上も会われへんかってんぞ。
せやから……もう二度と、おまえのこの手を離したないねん」

智史は稍と恋人つなぎしている手にきゅっ、と力を込めた。


「こうなったら……もう洗いざらい言うか」

智史は稍の顔を見下ろして、にやりと笑った。

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