偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「前のダンナはね、バツイチの人で、前の奥さんとの間に子どもが二人おってんけど。
あたしと離婚したあと、復縁して元サヤに収まりはったそうやねん。
あたしと出会ったときは、すでにバツイチになってはったから、別に不倫して略奪したわけやないねんけど……」

美咲はふっくらと笑いながら、しみじみと語った。

「それでもやっぱし……和哉とうれしそうに楽しそうに遊ぶ大和を見てたら、思うねん。
あの人の子どもたちに……『お父さん』を、返すことができてよかった、って」


「……美咲さん」

稍はふと疑問に思って、問いかけてみた。

「元ダンは、そんなふうに手放すことができはったみたいやけど……」

稍自身も、婚約者だった野田を速攻で後輩の由奈に譲った。

その「経験」を踏まえて訊く。

「もし、それが今のダンナさんやったら、
そんなにあっさりと……手放すことができはりましたか?」

「まさか」

それこそ、速攻で返ってきた。

「和哉は、絶対にだれにも渡さへんわよ」

ふんわりとした美咲の雰囲気が豹変していた。


今までの「母の顔」が鳴りを潜め、完全に「女の顔」になっていた。

その強張こわばった表情が……
そのまっすぐに見据える強い眼差しが……

大和という子どもがいるためだけではない、
ということを物語っていた。


……課長、美咲さんから、めっちゃ愛されてるやないですかぁ。

美咲が心に浮かんだことは言わずにはいられないのは、相変わらずだ。
稍は思わず、くすりと笑った。

そして……思った。

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