君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。


「あ、バス来たみたいだよ」

ターミナルの窓から見えた赤いバス。


椅子から立ち上がってドアを開くと春風が俺のミルクティー色の髪を揺らした。

「那知くんの髪綺麗だよね、いつ染めたの?」

「これ?中学卒業してからだよ。それまでは黒髪だった」


へー、と逢は興味津々に俺の髪を見つめて、俺たちの前にバスが止まる。

バスに乗り込んでいつもの席に座った逢を見て、俺は通路を挟んだ隣に座った。


「どうしてその色にしたの?」

発車します、という運転手の声を聞きながら逢の声に耳をすます。

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