君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
「…なぁ、逢」
少し低く落ち着いたような声色を放つ那知に、私の心臓は静まっていく。
「なぁに?」
お互い、下を向いたまま目も合わさず話す。
「前、好きな人欲しいって言ってただろ?」
あぁ…那知と初めてあった日。
入学式の帰りのターミナルで……
『私も、好きな人欲しいなぁ…できる、かな』
「…うん」
その思いは、今でも変わっていない。
けれど…ほんとに、出来るのかな。
今だって、急に“友だち”から“異性”になったひろくんに戸惑っているのに。