君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
「…逢、おいで…!」
いつの間にか背の高い向日葵畑の中へ入り込んでいた那知の声が聞こえる。
それに引き寄せられるように声の方へ足を進めると、向日葵の中から出てきた手が私を引っ張った。
「きゃっ」
「…っと、あぶね……」
勢い余って胸に飛び込んだ私をしっかりと抱きとめてくれている彼。
……私、心臓、なんで、速いの…
「…わるい、引っ張りすぎた」
肩を両手で抱かれたまま体を離されて、トントンと後ろに小さく二、三歩下がる。
「……あ、いや…ううん…」
ぎこちない私にすこし首をかしげて、それから他の人にはわからないほど小さく表情を変える。
…なんで、泣きそうな顔……
「…裕也と、付き合ったんだよな……」
「……うん、付き合ったよ…」
「那知のおかげ…ありがと」
そう言った瞬間私の肩を掴んでいた彼の手に少し力が入った。
それからすぐに肩から手が離れて、那知は向日葵のもっと奥へ入っていく。