君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。


急いで財布を確認すると、小銭まで全てが取られていた。

あの人の“借りる”は、“もらう”だから。

もうお金が返ってくることはない。


『…土曜日、友達と遊ぶ約束したのに、お金ないんじゃ、何も出来ない』

せっかく貯めてた、お父さんに負担をかけないように、あまりお金をお父さんにもらわなくていいようにと。


『………お父さん、あいつに、全部、お金取られた』

アザだらけで、泣いている私に、仕事から帰ってきた父は、泣きそうな顔をして、良く抱きしめてくれた。


『ごめんな、逢。綺麗な顔にも傷付けて……』

ごめんな、ってお父さんが謝る必要は無いのに、 あの人の分まで何度も何度も謝っていた。

『お金はまたあげるから、大丈夫俺は貯金いっぱいあるから。財布はちゃんと隠しときなさい』

『…うん、ありがとう』


お父さんの大好きな黒髪と、 それに似た私の黒髪。

けれど似ていない、心の色。


お父さんは、真っ白で、とても、綺麗だ。

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