君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
なんだろう。
この世界から、あの人が消えることを、何度も望んだのに。
いざ居なくなると、このなんとも言えない感情が、私を支配する。
しばらく黙り込んでいたお父さんが、それにペンを動かした表情が悲しそうで、私は、泣いてしまった。
お父さんは、やっぱり、どうしてもあの人が好きだったのかもしれない。
『これまで逢が辛かったことを知りながら、離婚を選ばなかったことを許してくれ』
なんて、涙を流す程に、それでもあの人が好きだったのかもしれない。
じゃあ、お父さんを泣かせたのは、私だ。
『ごめんね、お父さん』
静かに頬を伝った涙は、抱きしめてくれたお父さんの胸に吸い込まれて行った。
「…人が、信じられなくなった」
「自分の心でさえも、疑うようになった」
「怖かった、信じた人に裏切られることが、怖かったの」
無感情のように呟いたそれらの言葉を、君は大切に大切に拾い集める。
「…そうか」
たった一言、それから強く私を抱きしめる。