君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
「──雪白、最近…よく笑うようになったね」
ひろくんが、ふいにそう呟く。
風邪をひいて、色々あったあの夜からもう2週間ほどたとうとしていた。
「そうかな?」
「…うん、幸せそうだよ、前よりずっと」
自分でも気付かないほど、自然に笑えることが多くなった。
目が腫れる程に泣きわめいたから、涙と声と一緒に、毒まで抜けた感じだ。
「雪白が幸せなら、俺も嬉しい…」
優しすぎるひろくんの笑顔は、もはや天使の域だ。
日曜日の、夕暮れにはまだ早い時間帯。
隠れ家みたいなカフェに、ふたり向かい合ってミルクティーとコーヒーを飲む。
「俺ね、雪白が幸せなら、本当に幸せなんだよ」
「ふふ、ありがとう、私もひろくんが笑ってたら嬉しいよ」
バカップルみたいな、ほのぼのとした幸せな会話なはずなのに、今日の彼の表情は少しぎこちない。
「今日、会いたいって言ったのはさ、話を、したかったからなんだ」
何度目かのデート、だと思っていたけれど、違うみたいだ。
「…うん?どうしたの?」