君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
六度目の、授業の終わりを告げる鐘を聞く。
運動部が真っ先に教室を出ていって、文化部や帰宅部がゆっくりと帰っていく。
見慣れた光景に、なんだかよくわからない感情が湧いた。
気付けば、もう教室には俺しかいない。
座っている椅子に何もかも預けて、上を向いた拍子に明るい髪色が重力に従って落ち視界から消える。
意識せずとも目はゆっくりと閉じて、その分耳はよくすんでいた。
運動部の掛け声とか、吹奏楽部のチューニングの音とか、帰りながらのくだらない会話とか。
あぁ、学校だなぁって思った。
俺は高校一年生で、まだ何も知らないただのガキなのだと、思った。
「那知」
遠くの声にすませていた耳は、突然近くから聞こえてきた声に少し驚く。
さっきまで教室には俺しかいなかったけど、まだ帰ってなかったんだ……
「寝てるの…?」
無防備に俺の顔を覗き込んでいるであろう彼女は、恐る恐る俺の頬に触れた。
影が、俺を覆う。
さらりと、音を立てるかのように、長く柔らかな髪がまた頬に触れる。