君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
「逢」
触れている手を掴んで、目を開けると想像よりももっと近くに彼女がいた。
もう少しで、鼻もくっつきそうなほどの距離。
いとも容易く彼女に触れられる距離。
まるで、手繰り寄せれば、キスでも出来そうな距離。
至近距離で合った彼女の目は見開かれて、それから伏せられる。
「…起きてたの?」
「ん、目瞑ってただけ」
寝てるの?って聞いたのに。って頬を膨らませて睨んでも、可愛いだけだぞ。
「ごめんごめん、それで…どした?」
小さく笑う俺を彼女はやっぱり睨んでいて、それから俺の問いに答えた。
「……、……話…が、したい…」
うつむき加減に聞こえた小さな声は、少しだけ震えていた。
彼女の手を捕まえていた俺の右手は、黒髪へ触れて、流れるようにそれを撫でる。
「…うん、いいよ」
彼女に感情のままに触れるのも、ずいぶん久々のような気がする。
こんなに、赤く染った彼女の顔が、俺に向いているのも。