君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
少し大きなグレーのパーカーと、黒いスウェットパンツ。
「那知?着替えた?制服私の部屋に掛けるよ」
モコモコの淡いピンクと黄色の部屋着を着た逢に制服を預けて、そのまま彼女の部屋に入る。
以前来た時とあまり変わっていない。
「あ、ちょっと待ってて」
そう言って部屋を出ていった逢。
…なんだろ?
逢が普段勉強する時に座っているであろう、くるくると回る椅子に腰掛ける。
「…那知、お待たせ。こっち来て」
「ん」
言われた通り、逢が手招きしたテーブルの方へ足を動かした。
「本命、だからね」
テーブルに置かれたそれは、前の世界ではぐしゃぐしゃになり、俺の手に渡らなかったもの。
「食べていい…?」
「…うん」
三角の形をした、ガトーショコラ。