君はいないのに今日も空は綺麗で、僕は泣いてしまった。
逢はそれ以外何も言わなくて、他の人は驚いたり、謝ったりするのに。
この沈黙が、逆に心地よかった。
「逢、帰ろ」
俺は椅子から腰を上げて座っている逢に手を差し出す。
「あ、ありがと…」
逢はそう言い、俺の手を取って立ち上がった。
30センチくらい横を歩く彼女に少し落ち込んで、それでも今の俺たちの距離はこれくらいなのだと思い知った。
「…逢」
学校を出て、歩道橋の階段を上がりながら口を開く。
「なぁに?」