また、雨の日に。
ー中学2年 夏ー
「…はい、…はい、…わかりました。すぐに伺います。……」
ばぁちゃんは電話を切ると、その場に座り込んだ。
この年 私は、ばぁちゃんの家に居た。
カカが入院したからだ。
癌だって言ってた。
あまり良くないって。
さっきの電話は、病院からだろう。
きっと、カカの容態が悪くなったんだと思う。
「…ばぁちゃん、私じぃちゃん呼んでくる」
「……あぁ、お願い、アメ。……お願い……ッ……」
ばぁちゃんが泣いてるのを背に、私は畑に
じぃちゃんを呼びに行った。
「はぁ、はぁ、はぁ、………カカ、……カカぁ、……行かないで、カカ……」
畑まで走りながら、私は声に出して願った。
ポツポツと、雨が降ってきていた。
ー カカ、私をひとりにしないで。 ー
ー カカが居なくなったら、雨が好きな人が居なくなるよ。 ー
ー 雨が、もっと、嫌いになるよ。 ー
ー だからカカ、行かないで。 ー
「はぁ、はぁ、じぃちゃーん!どこー!じぃちゃーん!…はぁ、はぁ、」
「アメー!ここだー!どぉしたー?」
「じぃちゃん!はやく!はやく来て!カカが!」
私の顔を見て、じぃちゃんは察した。
それから私たち三人は、病院へ向かった。
着いた時にはもう、
カカの心臓は、止まっていた。
カカとの最後の会話、なんだっけ。
カカは、私に何て言ってたっけ。
そぉだ。
「アメ、またね。」
昨日、病室出る時に言ってた。
またね。って、言ってた。
「……またねって言ったじゃん!カカ!…カカの嘘つき!」
処置室に、私の声が響いた。