また、雨の日に。




ー中学2年 夏ー






「…はい、…はい、…わかりました。すぐに伺います。……」




ばぁちゃんは電話を切ると、その場に座り込んだ。




この年 私は、ばぁちゃんの家に居た。


カカが入院したからだ。

癌だって言ってた。




あまり良くないって。





さっきの電話は、病院からだろう。





きっと、カカの容態が悪くなったんだと思う。










「…ばぁちゃん、私じぃちゃん呼んでくる」



「……あぁ、お願い、アメ。……お願い……ッ……」




ばぁちゃんが泣いてるのを背に、私は畑に
じぃちゃんを呼びに行った。









「はぁ、はぁ、はぁ、………カカ、……カカぁ、……行かないで、カカ……」



畑まで走りながら、私は声に出して願った。



ポツポツと、雨が降ってきていた。















ー カカ、私をひとりにしないで。 ー



ー カカが居なくなったら、雨が好きな人が居なくなるよ。 ー



ー 雨が、もっと、嫌いになるよ。 ー




ー だからカカ、行かないで。 ー





「はぁ、はぁ、じぃちゃーん!どこー!じぃちゃーん!…はぁ、はぁ、」





「アメー!ここだー!どぉしたー?」




「じぃちゃん!はやく!はやく来て!カカが!」





私の顔を見て、じぃちゃんは察した。






それから私たち三人は、病院へ向かった。

















着いた時にはもう、



カカの心臓は、止まっていた。






カカとの最後の会話、なんだっけ。




カカは、私に何て言ってたっけ。








そぉだ。







「アメ、またね。」

昨日、病室出る時に言ってた。

またね。って、言ってた。












「……またねって言ったじゃん!カカ!…カカの嘘つき!」



処置室に、私の声が響いた。








< 3 / 7 >

この作品をシェア

pagetop