輪廻ノ空-新選組異聞-
「ち、ちょっと!ど、どどどこを触って…!おなごに手荒な真似はよしてください!」
沖田さんは慌てて飛んでくると、わたしの腕を掴んで皆の囲みから離れた所まで引き摺って。
「俺らぁ、今おなごだと知ったんだが…。たった今、な」
「男だと思っていたのが、突然おなごと言われてもな…」
「触って確かめたくなるのは、道理だろ?」
永倉さんも、原田さんも、藤堂さんも…皆ブスッとした表情で。
「沖田くんは知っていたんだな?」
山南さんが静かに聞いた言葉に、沖田さんは頷いた。
「俺と、近藤さん、そして総司の三名が知っていた」
土方さんがその質問を引き継ぐように口を開いた。
「おなごの身ながら、どうしても我らに加わりたいと、武州から単身上洛してきた。追い返そうとも相談したのだがな…。このなりだ。男としてどうにか加えてやれるか、という結論に至った」
土方さんの言葉に、永倉さんが更に問いを重ねる。
「で、俺達に突然打ち明けるたぁ、どういう了見だ?おなごゆえに依怙贔屓に加担させたいのか」
「今日の斬り合いで怖じ気ついたのか?」
原田さんはわたしに視線を向けて。
「んなこた言わねぇ。今まで通りでいい。こいつもそんな扱いは望んでいない。寧ろ、男以上に男らしくあろうと務めてきた。そんな扱いをすりゃあ、怒りだすぜ?」
「…………確かに…」
稽古場での気迫と、真剣さは誰よりも抜きん出ていた自信がある。多分皆、それが、にわかにはわたしが「おなご」だと信じられない理由だと思う。わたしの努力のたまもの。本当におんなだと欠片も気付かせてなかったんだ。
「俺も近藤さんも忙しい。総司ひとりじゃあ、目が行きとどかねぇ。そんな時に、今日のような場面で斬り死にしたとしよう。誤魔化せる者が少しでも多くなくては…新選組はおなごの手も借りぬと働けぬのかと、汚名を被る」
「そうだな…」
うむ、そうだ、と皆、口々に納得の言葉を発した。
「立派だろう。誰もおなごだと疑ってはおらんかったのだからな」
近藤さんがあっけらかんと、笑いさえ混ぜて言うと、再び全員の視線がわたしに…。
沖田さんは慌てて飛んでくると、わたしの腕を掴んで皆の囲みから離れた所まで引き摺って。
「俺らぁ、今おなごだと知ったんだが…。たった今、な」
「男だと思っていたのが、突然おなごと言われてもな…」
「触って確かめたくなるのは、道理だろ?」
永倉さんも、原田さんも、藤堂さんも…皆ブスッとした表情で。
「沖田くんは知っていたんだな?」
山南さんが静かに聞いた言葉に、沖田さんは頷いた。
「俺と、近藤さん、そして総司の三名が知っていた」
土方さんがその質問を引き継ぐように口を開いた。
「おなごの身ながら、どうしても我らに加わりたいと、武州から単身上洛してきた。追い返そうとも相談したのだがな…。このなりだ。男としてどうにか加えてやれるか、という結論に至った」
土方さんの言葉に、永倉さんが更に問いを重ねる。
「で、俺達に突然打ち明けるたぁ、どういう了見だ?おなごゆえに依怙贔屓に加担させたいのか」
「今日の斬り合いで怖じ気ついたのか?」
原田さんはわたしに視線を向けて。
「んなこた言わねぇ。今まで通りでいい。こいつもそんな扱いは望んでいない。寧ろ、男以上に男らしくあろうと務めてきた。そんな扱いをすりゃあ、怒りだすぜ?」
「…………確かに…」
稽古場での気迫と、真剣さは誰よりも抜きん出ていた自信がある。多分皆、それが、にわかにはわたしが「おなご」だと信じられない理由だと思う。わたしの努力のたまもの。本当におんなだと欠片も気付かせてなかったんだ。
「俺も近藤さんも忙しい。総司ひとりじゃあ、目が行きとどかねぇ。そんな時に、今日のような場面で斬り死にしたとしよう。誤魔化せる者が少しでも多くなくては…新選組はおなごの手も借りぬと働けぬのかと、汚名を被る」
「そうだな…」
うむ、そうだ、と皆、口々に納得の言葉を発した。
「立派だろう。誰もおなごだと疑ってはおらんかったのだからな」
近藤さんがあっけらかんと、笑いさえ混ぜて言うと、再び全員の視線がわたしに…。