輪廻ノ空-新選組異聞-
原田さん、永倉さん、藤堂さん。
順々に勢い余って全部注がれた猪口からお酒を飲み干す。

御猪口だから…そんな沢山飲んでないと思うんだけど…

クラクラ、グラグラ、ふわふわ…

身体は顔はおろか、全身が熱い。

「蘭丸、無理はいけない。倒れちまいますよ」

皆も加減を…と沖田さんが何だか皆を止めてくれてる。

「そんな一気に沢山の酒を勧めちゃいけねぇ。こう見えてもおなごだからな。加減してやれ」

土方さんがビシッと言った。

言った…。

あ、おなごって言った…!

って、聞こえたし、分かってるんだけど…グラグラ、ふわふわし過ぎて身体が何の反応も出来ない…。

「飲んで慣れねぇと、いつまで経っても下戸のままだぜ」

と、誰だろ…永倉さん?が言って、その後、ようやく皆土方さんの言葉を飲み込めたみたいで沈黙がおりた。

ぼーっとする頭。視界もなんだかおかしいけど…皆がわたしに注目してるのはわかった。

しーーー…ん…

って、正にこんな状況なんだなぁ。

「これが……おなご?」

恐る恐るといった永倉さんの声。

「これ」ってひどくないか!ってわたしは思わず心の中で叫ぶ。

「身の丈は並よりあるし…」

「剣術の稽古は凄いぞ…?」

「確かに顔は……美少年だが…」

口々の言葉。

ぼーっとしたまま座してるわたしの所に、事情を知ってる三名以外の全員が集まって、輪を縮めて…。

ギュッ

「胸はねぇぞ?」

伸びてきた手が私の胸を着物の上から掴む。

「……ひゃっ」

突然股を叩かれて、悲鳴が出た。
「あ、…………ねぇ」

一物がねぇ、と原田さんが皆を見回して。
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