BIRD KISSーアトラクティブなパイロットと運命の恋ー
「それを言うなら祥真だよ。あそこまで乗り気じゃない態度取られると、フォローするこっちが大変だ。まあ、人数合わせで駆り出されただけだから気持ちはわかるけど」

 月穂が祥真を思い描いていると、夕貴は絶妙なタイミングで祥真の名を出した。

「隼さんも?」
「そうそう。あの日、俺と祥真でご飯行く予定だったんだけど先輩に捕まって」

 夕貴が苦笑して説明する。飲み会へ参加する流れまでもが似通っていて、ますます祥真への気持ちが膨らんだ。

(確かに飲み会ではちょっと面倒くさそうにしてた。でも、昨日カフェに連れていってくれたときは違った……と思う)

 祥真に嫌われてはいないかも、とこっそり安堵する。
 夕貴は背中を壁に凭せかけ、饒舌に続けた。

「祥真は男の俺から見てもイケメンなのに、彼女とか興味ないみたいで。もったいないって思うよ」
「そう、なんですか」
「んー。なんか、パイロットだから興味を持った、っていう女の子ばかりで嫌気がさしたみたい」

 夕貴がさらりと口にした理由に、思わずサアッと血の気が引いた。

(それって、私もそうかも)

 これまで祥真を前に、やたらパイロットを推すような発言をしたり、パイロットの彼を『すごい』と褒め湛えていたかもしれない。
 ずっと純粋な気持ちで伝えてきたものだが、祥真自身がどう捉えているかは定かではない。

 月穂は一気に不安になる。
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