誠の華−ユウガオ−



『…ゅ……ゅ……き……』



誰かが呼んでる。


重い瞼をなんとか持ち上げると私の右手を強く握るおミツさんがいた。


「……おミツさん、手痛い」


「雪っっ!!良かったぁーーーーー!!!」


「うぐっっっ!!!」


突然飛びかかってきたおミツさんに蛙を潰したような声が出る。


「ごめんなさい、ご心配をおかけしました」


布団から起き上がり頭を下げて言うとおミツさんは驚いているのか目を丸くしている。


「総司に言われたの。僕の願いを叶えてくれって」


突然話し出した私に思考が追いつかないのか言葉が出てこないおミツさんを置き去りして口を動かす。


「私が幸せになることが彼の幸せなんだって……。おミツさん…、あなたの弟って……なんでこんなに意地悪なんでしょうね……。総司なしでどうやって幸せになれば良いんだか……」


明日からはちゃんと笑ってるから……今日まではまだ泣き虫な雪でいさせて。


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