誠の華−ユウガオ−
もう総司の温もりはほとんどない。
きっともうすぐお別れなんだ。
総司、ありがとう。
ずっとずっと愛してるよ。
そう言って、彼が好きだと言ってくれた笑みを浮かべた。
涙に濡れて酷い顔だったと思う。
“僕も愛してる“
私の頰を撫でる総司の手を握る。
徐々に彼の姿が霞みだすと手に力が篭る。
あともう少し、あともう少しだけでいいから一緒にいさせて。
“雪、これは最期じゃない。僕達は来世もまたその次の世でも絶対一緒になる。だからこれが今生の別れじゃない”
そうだよね。
私達の縁はそんな簡単に切れたりしないもの。
次はもっと幸せになろう。
年老いて皺くちゃになるまで一緒にいよう。
それと、次は私より先に絶対逝かいでね。
“分かった、約束だ”
そう言って総司は私をきつく抱きしめた。
私も彼の力に負けじと強く抱きしめ返す。
彼の温もりや臭いが完全に消えると徐々に光り出し小さくなっていく。
逃すまいと追いかけるように体を折って強く強く抱きしめるとそれは弾け飛んだ。
見渡す限り闇が広がっていた視界はその光の影響で汚れのない真っ白な場所に変わった。