誠の華−ユウガオ−



もしかしたら少し一人になりたいのかもしれない。


戦う事をやめる、即ち武士をやめると言う事。


彼等はずっと武士になる事を夢見て京へ上り刀を握ってきた。


それを私は捨てさせたんだ。


「分かった。じゃあちょっと出掛けてくるね」


「応。ほら、これ持って行け」


「こ、こんないらないよ!!」


「着物でもなんでも買え。遠慮なんかしてくれるなよ。ほら、さっさと行け」


有無を言わせず背中を押され渋々と外に出た。


この時、歳さんがどんな顔をしていたのか振り返ってみるべきだった。


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