誠の華−ユウガオ−
「悪い」
「…いいよ、別に」
それ以外特に言葉を交わすことなく二人で日の出を見届けた。
そろそろ支度をしようかと腰を上げた時、ずっと口を閉ざしていた数馬が口を開いた。
「俺だけじゃ山南総長と藤堂組長の代わりにはなれねえけど、俺はしぶとく生きるから。お前にうざがられてもお前の親友としてずっと側にいるから覚悟してろよ」
普段は憎まれ口ばっかり叩いて喧嘩ばかりだけど何だかんだ辛い時にいつも数馬は助けてくれていた。
同じ組長助勤と言う役職に就いているからってのもあるけど、きっとそれだけじゃない。
「信じてるからね。もし死んだらあの世で私がもう一回殺すから」
「勘弁してくれよ。お前ならやりかねねえからな」
げんなりと言う数馬に声を出して笑った。
まさかこの後にあんな悲劇が起こるだなんて、知ることもなく。