誠の華−ユウガオ−




「土方さん、こんなのもう無理だ!!!」


陣に戻ると永倉は土方に掴みかからんばかりに声を張り上げた。


「どうしたんだ、鉄砲隊の中まで潜り込めたんだろ?報告が入ってるぞ」


「そのせいで半分近くの隊士が死んだんだ!!!」



土方は一瞬大きく目を見開くとすぐに鬼の形相に変わり舌打ちをした。


強く握られた右の拳が震え、悔しさが露わに出ている。


勇さんがいない今、新撰組を背負う歳さんの負担は私には到底計り知れない。


「この近くに淀城がある。そこに行って体制を整える。雪、お前は今井を連れて先に行きその旨を伝えろ」


「承知」


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