誠の華−ユウガオ−
淀城へ向かうべく裕次郎と足を踏み出したその時、私は目を疑った。
「雪っ!頼む、助けてくれ!!」
血相を変えて飛び込んできた原田の肩に担がれた人物。
力なくだらりと垂れ下がった腕に寒気がした。
「途中で倒れてるのを見つけて、急いで来たんだ。どのくらい時間が経ってるかは分からねえ」
息を切らしながら話し、私の前にその人を下ろす原田。
「…源さん…、なんでこんな……」
何発も撃たれたのであろう、胸から腹にかけて跡があった。
かなり流れたであろう血は既に固まり始めている。
震える手で源さんの傷口に触れるが何も起こらない。
「…やだよ……ねえ、源さん。目を開けて?源さん!!」
「雪、やめろ!」
「やだ、離して!!!」
源さんを思い切り揺すると歳さんに羽交い締めにされた。
原田や裕次郎、永倉達の苦痛に歪んだ顔が目に入り、無力感と悔しさに包まれる。