誠の華−ユウガオ−



蔑むように言うと門番達は怒りで顔を真っ赤にし震えていた。


それがアホらしくて嘲笑を浮かべると遂に彼等は攻撃をしかけてきた。


「己、小癪な女め。我等を愚弄するとはここで斬り捨ててくれるわ!!!」


ザシュッッッッ


「う”ぁぁぁぁあぁぁぁあああああ!!!!」



頭をかばうため咄嗟に出した両掌を横一文字に斬られた。


「雪さん!!!」


慌てて裕次郎が私の腕を掴み走る。


「ここに新撰組がいるぞーーー!!!」


すると門番が突如大声で私達の存在を叫び出した。


多方向から足音が聞こえる。


きっと新政府軍だ。


「ごめん、裕次郎。私のせいで…」


「謝らないでください!雪さんは間違った事は言ってませんから」


私の腕を引いて走る裕次郎の背中を眺めながら思い返す。


いつからこんなに逞しくなったのか。


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