誠の華−ユウガオ−
正面から新政府軍に刀を向けられ、慌てて引き返そうとすると後ろから、左右からと次々に現れた新政府軍に取り囲まれてしまった。
裕次郎に続いて抜刀するが両手を怪我しているせいで刀を握ることすらままならない。
「はっはっはっはっ、若造と手負いの女隊士か。こりゃ目を瞑っていても勝てるぞ」
その男を筆頭にゲラゲラと汚い笑い声が辺りに響く。
ギリギリと奥歯を噛みながらこの状況を切り抜ける方法を探すが焦りから何も思いつかない。
こうなったら仕方がない、か。
「私は新撰組一番組組長兼副長助勤。私は新撰組の情報を隅々まで知っている。新撰組の情報と私の命をくれてやる代わりにこの若造を逃がしてやってください」
「雪さん?!何をっっ!!」
頭を深く下げて懇願するが非常にも奴等は私の顔に向かって唾を吐き、その姿を嘲笑った。
「幕府の犬め、最期まで愉快な奴等だ。お前らっっっ!やれ!!!!」
男の声と共に銃口が私と裕次郎の姿を捉える。
ここまでか。
せめて裕次郎だけでも救いたかった。
ごめんね、裕次郎。
「畜生…こんなところでくたばってたまるか!!」
パンッ パンッ パンッ パンッ パンッ パンッ
声を張り上げ、自身の刀を振りかざすと全ての銃口が裕次郎の姿を捉え一斉に攻撃した。
「裕次郎ぉーーーーーーーーーーーー!!!!!!」