誠の華−ユウガオ−
「…雪さん、耳元で叫ばないでください」
「山崎さん!なんでこんなことしたの!!」
「ふくちょ…に、くれぐれも…雪さんを頼む、と」
脂汗を浮かべながら途切れ途切れに話す山崎。
「大丈夫、ですよ。五臓六腑は、外れてますから」
「馬鹿、大丈夫じゃない!新撰組にはあんたが必要なの!!もう少し自分を大事にして!!」
「はっ、そっくり、そのまま、返します…」
「もう良いから黙って!」
「いたっ!!怪我人に何しよるか!!!」
いつまでも黙らないので額を弾くと関西弁で怒りだした山崎に少し安心する。
これだけ元気なら大丈夫そうだわ。
「ほら、肩貸すから捕まって」
「すいません」
「良いって。仲間でしょう」
「仲間…か。なんやええ響きや。なら、残りは新撰組と共におろうかな」
山崎の最後の言葉がもし私の耳に届いていたら、私はもっと速く走っただろう。
もっと山崎を叱っただろう。
もっと山崎を安静にさせただろう。