サトラレル

***

関口 芹(せきぐち せり)ちゃんは、真ちゃんの彼女だった人だ。


二人は高校の同級生で、卒業と同時に付き合い始めた。


真ちゃんは大学を卒業するまで実家暮らしだったから、芹ちゃんも家によく遊びに来てて、10歳年下の私の事をとても可愛がってくれた。


モデルさんみたいに細くて手足が長くて、顔がちっちゃくて、美人な芹ちゃん。腰まで伸びるストレートの黒髪を揺らしながら歩く彼女は、まるでしなやかな黒猫みたいだった。



『のーんちゃん』


何回真ちゃんが『野々だよ』って笑いながら言っても、『ごめん、ののって舌噛みそうになっちゃう。だから、私はのんちゃんね』って、そう言ってずっとのんちゃんって呼んでくれた。


芹ちゃんは、私にとって本当のお姉ちゃんみたいな存在で、おしゃれもメイクも全部芹ちゃんに教えてもらったし、叔母さん(おかあさん)に言えなかった好きな人の話も全部芹ちゃんが聞いてくれた。


私が上京した18歳の春……もう二人は一緒に暮らしていた。だから、もうすぐ結婚するんじゃないかって私も、叔父さん(おとうさん)叔母さん(おかあさん)も周りの友達も、みんなそう思ってた。


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