サトラレル
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関口 芹ちゃんは、真ちゃんの彼女だった人だ。
二人は高校の同級生で、卒業と同時に付き合い始めた。
真ちゃんは大学を卒業するまで実家暮らしだったから、芹ちゃんも家によく遊びに来てて、10歳年下の私の事をとても可愛がってくれた。
モデルさんみたいに細くて手足が長くて、顔がちっちゃくて、美人な芹ちゃん。腰まで伸びるストレートの黒髪を揺らしながら歩く彼女は、まるでしなやかな黒猫みたいだった。
『のーんちゃん』
何回真ちゃんが『野々だよ』って笑いながら言っても、『ごめん、ののって舌噛みそうになっちゃう。だから、私はのんちゃんね』って、そう言ってずっとのんちゃんって呼んでくれた。
芹ちゃんは、私にとって本当のお姉ちゃんみたいな存在で、おしゃれもメイクも全部芹ちゃんに教えてもらったし、叔母さんに言えなかった好きな人の話も全部芹ちゃんが聞いてくれた。
私が上京した18歳の春……もう二人は一緒に暮らしていた。だから、もうすぐ結婚するんじゃないかって私も、叔父さんも叔母さんも周りの友達も、みんなそう思ってた。