サトラレル
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「のんちゃーん!久しぶり!俺の事、覚えてるー?昔は可愛らしい感じだったのに、暫く見ないうちに美人さんになったね。せっかく羽浦に戻って来たのに、真人忙し過ぎるから、のんちゃんの事、何処にも連れてって無いんでしょ?俺で良かったらいつでもデートに付き合うよ?」
「…………」
頭の中が真っ白になって言葉が出て来ない、って正にこういう状況の事を言うのかもしれない。
……いや、" 声が出せない " ってのが正しい状況なのだけど。
もっと正確に言うと、出してしまった声は、もれなくこの私の隣にいる白猫に食べられてしまうからなんだけど。
「あれー?反応無いね。おかしいなぁ。久々の感動の再会だよ?俺の方はいつでも抱き締める準備はできてたんだけどなぁ」
そう言って目の前の男の人は両手を広げて、そのまま肩をすくめて見せた。
まるで海外の人のようなオーバーなリアクションだったけど、この人がやると違和感が無いし、かえって似合って見えるのが不思議だ。
「おい、瞬。あんまりふざけるなよ。俺たちは遊びに来た訳じゃないんだからな」