サトラレル
私が退院する条件として真ちゃんが出した『外出する時には付き添う』事と、『心療内科に通う』事を実行する為に真ちゃんの同級生というツテを頼ってここ水元(みずもと)医院にやって来たまでは良かったものの、私の記憶の中にある相澤 瞬くんと目の前のこの人がどうしても一致しなくて、今軽く心が混乱している最中なのだ。


ちなみに瞬くんは相澤樹と双子の兄弟で、彼は弟だ。


ついでに言うと、二人の父親でもあるここの院長先生の名字は水元(みずもと)。親子なのに何で名字違うの?って話なんだけど、二人が小学生の時に両親が離婚したそうで、相澤(あいざわ)はお母さんの名字なのだそうだ。


真ちゃんのように二人の同級生達や病院の関係者、患者さんを含めてみんなその辺の事情は当然のように知っている。羽浦は狭い街だから、他にも知っている人はたくさんいるだろう。


そして瞬くん達も、家の事情を知っている。


私は鳴海(なるみ)家に引き取られたけれど養女にはならず、姓は須藤(すとう)のままだったけれど、高校までは鳴海の名字を名乗っていた。


また同じ話になるけど、羽浦は羽浦"市"なんて名乗っているけど、なんて事ないただの田舎街だ。その人間関係は恐ろしく狭い。



お互いの複雑な家庭の事情を知りつつも、親とは違う名字という共通点もあってか、瞬くんは始めて会った時から私に構える事なく話しかけてくれる、とても貴重な存在だった。
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