サトラレル
そして、これは真ちゃんにも話した事は無いのだけど……私は、いつも優しくてカッコいい瞬くんをもう一人のお兄ちゃんのように思っていた。

当時小学生だった私は、たぶん恋に近いくらいの感情で瞬くんを慕っていたと思う。


だけど私が中学生になり、真ちゃんも医大を卒業して研修医になって実家を離れた頃から、段々と芹ちゃん以外の真ちゃんの友達とは疎遠になっていった。


そう言えば、芹ちゃんに瞬くんに彼女がいるかどうか真ちゃんに聞いてみて!なんてお願いした事もあったなぁ。


いま思うと、芹ちゃんを通して真ちゃんに聞くなんて直接聞くよりもよっぽど誰が聞いてきたかばればれで、恥ずかしい。


よく芹ちゃんも、真ちゃんも、そして瞬くんも小学生の恋に真面目に付き合ってくれたなぁ……。



***

「おーい、のんちゃん。ぼんやりしてたら日が暮れちゃうよ。まずはどっかに飛ばしちゃってる意識を、全部俺の方に全力で向けてもらおうかな」


昔を思い出して、ちょっとだけぼんやりしてしまっていた。気がついたら、目の前に瞬くんの整った顔があって、驚いた私は思わず『わっ!』と声を上げてのけ反ってしまっていた。



……しまった!


そう思ったけれど、時既に遅く、唇から溢れ落ちた言葉はあっという間に  『わ』『っ』  と固まって空中にふわふわと浮き出した。



もちろんそれを白猫が見逃すはずも無く……真ちゃんと瞬くんの二人には見えていないだけで、今日もふてぶてしい態度で私の隣で寛いでいた白猫が、獲物を見つけた!とばかりにキラキラと目を輝かせて、ピョーン!!と二つの言葉に飛びかかって行った。


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